大夕張10景(5)
白銀橋に憩う
画・・・・伊 藤 清 治
文・・・・佐 藤 貞 雄
 いっぱいに水をたたえたシューパロ湖と,残雪の夕張岳を右に見ながら,バスは大夕張へ向かう。湖水が右へ別れる地点へ来ると,前方にクリーム色のしゃれた橋が,湖をひとまたぎしている。白銀(しろがね)橋という。
 長さ百十メートルのこの橋は,鹿島,奥鹿島開拓地22戸86人につながる命橋でもある。43年に橋が落ちたあと,昨年秋架け替えられた。ランガートラスト方式といい,半円のアーチが橋げたを吊り上げる永久橋。
 橋を渡ってしばらく行くと,児童5人の東小学校奥鹿島分校があり,右に白金川,左に滝の沢がいつも手がきれるような冷たさで流れている。人間関係のわずらわしさからのがれてこの橋を渡る。そこに心の休まる空間が広がる。中傷と誠実の区切り,それが白銀橋である。
(昭和45年5.20)



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